窓やカーテン、ランプシェードが、いつのまにか動きの遅い、盾の形をした茶色の虫でいっぱいになっていても、困っているのはあなただけではありません。あなたのせいでもありません。いまは クサギカメムシ(カード #109)が食べるのをやめて、冬を眠ってすごす場所を探しはじめる季節です。そしてあなたの家は、その「どこか」としてかなり条件のいい場所です。
どこからこんなに来るのか
クサギカメムシはもともと東アジアの虫です。ペンシルベニア州立大学の普及事業の記録では、北アメリカで初めて採集されたのは 1990 年代後半、ペンシルベニア州アレンタウンでした。実際に入ってきたのは、おそらくその数年前です。それ以来、アメリカ合衆国の大部分とカナダ南部に広がり、ヨーロッパの一部にも定着しています。
夏のあいだは外で暮らし、果樹や庭木、野菜、作物を食べています。ペンシルベニア州立大学によると、成虫は 9 月から 10 月にかけて冬越しの場所を探しはじめ、暖かい秋の日には家の外壁に引き寄せられます。最初に集まるのは、日の当たる南向きや西向きの壁です。そこから、見つけたすき間に歩いて入りこみます。窓枠のまわり、外壁材や鼻隠しの下、換気口、煙突の中です。
私たちの季節データにも、同じ波が出ています。カード #109 では、この種の iNaturalist の研究用グレードの記録が夏のあいだ増えつづけ、9 月にピークを迎えます。9 月の記録は 1 月の約 5 倍です。この秋のピークは、壁や窓枠にとまったカメムシを人々が写真に撮った記録です。
カメムシか、よく似た別の虫か
クサギカメムシは指のつめくらいの大きさで、盾の形をした、まだらの茶色の虫です。決め手は 2 つあります。触角にある淡い色の帯と、腹のふちに明るい部分と暗い部分が交互に並ぶ模様です。英語名の「marmorated」(大理石模様の)は、この模様のことです。ウィスコンシン大学とユタ州立大学の普及事業は、どちらもこの 2 つの特徴で、よく似た虫と区別しています。
| 虫 | 見分け方 | 家に入る? |
|---|---|---|
| クサギカメムシ | 盾の形、触角に帯、体のふちに帯模様 | 入る(秋に群れで) |
| Green stink bug(Chinavia hilaris) | 同じ盾の形、あざやかな緑色 | ときどき |
| マツヘリカメムシ | より長く細い。背中にジグザグの線、葉のように平たい後ろ脚 | 入る(秋に) |
| Boxelder bug(Boisea trivittata) | より細い。黒に赤やオレンジの線 | 入る(秋に群れで) |
| サシガメの仲間 | 灰色で大きめ。背中に歯車のような形のとさか状の突起 | めったに入らない(外で狩りをする) |
マツヘリカメムシも秋に家に入ってきて、さわるとにおいを出します。ただしウィスコンシン大学の昆虫研究室によると、迷惑な虫ではあるものの、それ以上の害はほとんどありません。サシガメの仲間は、カメムシを含むほかの昆虫を狩る捕食者です。手でさわると痛いほどかむことがあるので、指ではなくびんを使って移してください。どれなのかわからないときは、この虫は何? に写真を入れれば判定できます。
家の中で増えるのか
増えません。これがいちばん知っておくと役に立つことです。ケンタッキー大学が家に入るカメムシについて出している普及用ファクトシートによると、成虫は交尾しないまま冬を越し、家の中では繁殖しません。1 月に見かけるのは、秋に入ってきた個体です。屋根裏で数を増やしているわけではありません。
カメムシは、暖かい冬の日に目をさまします。暖房の熱や窓から差しこむ日ざしを春と勘違いして、部屋の中へさまよい出てくるのです。そして、いちばん近い明かりへぎこちなく飛んでいきます。春になると生き残りがまた外へ出ようとします。だから 3 月から 4 月ごろ、窓に第 2 の波が来るのです。
においを出させずに外へ出す
あのにおいは身を守るためのものです。カメムシは強く押さえられたり、つぶされたり、驚いたりしたときににおいを出します。ですからコツはただひとつ、驚かせないことです。
- 1 匹ずつなら: 紙を下にすべりこませるか、びんをかぶせて下にカードを差しこみ、外へ運びます。カメムシは動きが遅く、落ち着いて近づけばめったに飛びません。
- 戻ってきてほしくないなら: 台所用洗剤を数滴たらした水のびんに落とします。洗剤が表面張力を弱めるので、虫は沈みます。外来種への対処として、いくつかの普及機関がこの方法をすすめています。家の中でにおいが出ることもありません。
- たくさんいるなら: ケンタッキー大学のファクトシートでは、掃除機のホースにナイロンのストッキングを押しこみ、先端にかぶせて輪ゴムでとめる方法を紹介しています。虫は紙パックではなくストッキングにたまるので、外で中身を出せます。ストッキングなしで吸うと、掃除機に長いあいだにおいが残ります。
- おすすめしないこと: つぶすこと、たくさんの虫をトイレに流すこと、家の中で殺虫剤をまくこと。壁の内側のすき間で死んだ虫は、それを食べるほかの虫を呼び寄せます。
フロントからひとこと:カメムシのにおいは毒ではありません。「放してください」という、とても説得力のあるお願いです。長居しすぎたお客さんだと思って、丁寧にドアを開けてあげてください。
来年、家に入れないために
予防は夏の終わり、9 月のラッシュの前にする仕事です。オレゴン州立大学の普及事業は、よくある入り口を挙げています。窓やドアのまわりのひび、配管の引きこみ口のすき間、外壁材や鼻隠しの下のすき間です。シリコーンかシリコーン・ラテックスのコーキング材、発泡シーリング材、すき間テープでふさいでください。屋根や軒裏の換気口には細かい網をつけ、破れた網戸を直し、煙突にキャップがついているか確かめます。ケンタッキー大学によると、ひびやすき間の多い、手入れの行き届いていない古い建物がいちばん入られやすいそうです。
外壁に殺虫剤をスプレーするサービスを勧められることもあります。けれども普及機関の助言は一貫していて、効き目は短く、すき間をふさぐ代わりにはならないとしています。
害はあるのか
人には、ありません。刺さず、人をかむことも知られていません。服や食べ物、木材を食べることもなく、家をいためることもありません。外では話が別です。ユタ州立大学の普及事業は、クサギカメムシを果物、野菜、ナッツ、一部の畑の作物、観賞用植物の重大な害虫としています。家の中ではただの迷惑な虫でも、農家が目を光らせているのはそのためです。
カメムシのような盾の形の虫がいろいろ集まっていて、全部が同じ種かどうかわからないときは、虫図鑑 の カメムシの仲間 のコーナーに 1 種ずつページがあります。また、秋に家に入ってくる虫 のガイドでは、同じころによくやって来るテントウムシや cluster fly も紹介しています。
出典
- Penn State Extension:Brown marmorated stink bug
- University of Kentucky Entomology:Stink bug infestation of dwellings (ENTFACT-654)
- Oregon State University Extension:Stink bugs and boxelder bugs everywhere?
- University of Wisconsin Insect Diagnostic Lab:Conifer seed bugs
- Utah State University Extension:Invasive insect look-alikes
- 季節のパターン:iNaturalist の研究用グレードの観察記録(カード #109 に表示)
質問
こんなにたくさんのカメムシは、どこから来るのですか?
家のまわりの畑や果樹園、木々から来ます。クサギカメムシは夏のあいだずっと外でえさをとっています。そして 9 月と 10 月になると、成虫が冬を越すための雨風をしのげる場所を探しはじめます。カメムシの目には、日の当たる家の壁が崖のように映ります。そして窓や換気口、外壁材のまわりのすき間は、カメムシが求める暖かく乾いた場所へと続いています。
カメムシは家の中で繁殖しますか?
しません。ケンタッキー大学の普及担当の昆虫学者によると、成虫は交尾しないまま冬を越し、家の中では繁殖しません。1 月に見かけるカメムシは、秋に入ってきたのと同じ個体です。10 月に数匹いても、春までに何百匹にもなることはありません。暖かくなると、また出ていきます。
家の中のカメムシを、においを出さずに追い出すには?
つぶさないでください。1 匹ずつ紙の上やびんの中にそっと移して、外に出します。戻ってきてほしくないなら、せっけん水を入れたびんに落としてください。たくさんいるときは、掃除機のホースの中にナイロンのストッキングを入れ、輪ゴムでとめます。こうすると虫は紙パックではなくストッキングにたまります。紙パックに入ると、何週間もにおいが残ります。
カメムシは人やペットに害がありますか?
刺しません。人をかむことも知られていません。家や配線、食べ物をいためることもありません。害が出るのは外です。クサギカメムシは、果物や野菜、一部の畑の作物の深刻な害虫です。家の中では、迷惑で、においがするだけです。
来年カメムシを家に入れないためには?
9 月より前に入り口をふさぎます。窓枠やドア枠まわりのひびをコーキングでふさぎ、換気口に網をつけ、配管やケーブルの引きこみ口のすき間を閉じ、破れた網戸を直します。オレゴン州立大学の普及事業は、この作業に使うものとして、シリコーンかシリコーン・ラテックスのコーキング材、発泡シーリング材、すき間テープを挙げています。外壁へのスプレーは、すき間をふさぐ代わりにはなりません。
